「カバードコールETFって、結局指数に負けるんじゃないの?」
よく聞かれる質問です。答えは「相場環境による」です。
2026年6月は、実はS&P500もNASDAQ100もマイナスで終わった下落局面でした。この月のデータを見ると、カバードコールETFの本来の特性が非常によく表れています。
この記事では、2026年6月の1ヶ月間における以下の6銘柄の価格変動(配当抜き)を楽天証券の実際のチャートデータをもとに比較・分析します。
- S&P500系:VOO(指数)・SPYI・JEPI
- NASDAQ100系:QQQ(指数)・QQQI・JEPQ
私自身、これらのETFを実際に保有しているFP2級保有者として、数字の背景にある「なぜ」を解説します。
【PR】楽天証券でカバードコールETFを購入できます
2026年6月の市場環境:なぜこの月のデータが重要か
S&P500・NASDAQの6月の動き
2026年6月は、米国株式市場全体にとって試練の月でした。
S&P500(VOO)は月間で-1.50%、NASDAQ100(QQQ)は-0.90%とともにマイナス圏で終了。月中に一時的な反発はあったものの、全体的に軟調な展開が続きました。
この「指数がマイナスで終わる月」こそ、カバードコールETFの真価が問われる局面です。
VIX(恐怖指数)の推移とカバードコールへの影響
6月は米国の経済指標発表や金融政策への不透明感から、相場の揺れが大きくなる場面が複数回ありました。
VIX(市場の恐怖指数)が高い局面では、カバードコールETFが売却するオプションのプレミアム(対価)が高くなります。つまり相場が荒れるほど、カバードコール戦略の収益源となるプレミアム収入が増える構造になっています。
【グラフ①】S&P500系比較:VOO・SPYI・JEPI

※楽天証券テクニカルチャートより(2026年6月1日〜6月30日・配当抜き)
グラフの見方と前提条件
- 期間:2026年6月1日〜6月30日
- データ:楽天証券のチャートから取得した価格変動(配当は含まない)
- 青線:VOO(バンガード・S&P500 ETF)
- 紫線:SPYI(NEOS S&P500 ハイ・インカムETF)
- 赤茶線:JEPI(JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF)
S&P500系銘柄別分析
VOO(S&P500):月間-1.50%
S&P500指数に連動するVOOは、月間で-1.50%のマイナスで終了しました。月中に一時的な下落幅が-4%を超える場面もありましたが、月末にかけて回復。ただし完全には戻しきれず、マイナス圏で終わりました。
SPYI(NEOS S&P500 ハイ・インカムETF):月間-1.70%
SPYIはVOOより0.2%ほど下落幅が大きく、-1.70%で終了しました。
S&P500と連動しながらカバードコール戦略でプレミアム収入を得る設計のSPYIですが、価格変動(配当抜き)ではVOOをわずかに下回る結果となりました。ただしSPYIは月次分配の配当収入(年利約11〜12%)があるため、トータルリターンでは大きく異なります。この点は後述します。
JEPI(JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF):月間+2.10%
6月の最大の驚きはJEPIです。
S&P500がマイナス圏で終わる中、JEPIは+2.10%のプラスで6月を終えました。これはJEPIの運用設計の特徴を如実に示しています。
JEPIはS&P500銘柄への投資に加え、ELN(エクイティ・リンクト・ノート)という仕組みを使ってオプションプレミアムを得る戦略を採用しています。この設計により、相場の上昇局面では指数に劣後しやすいものの、下落局面での守備力が高いという特性があります。6月はまさにその特性が発揮された月でした。
【グラフ②】NASDAQ100系比較:QQQ・QQQI・JEPQ

※楽天証券テクニカルチャートより(2026年6月1日〜6月30日・配当抜き)
グラフの見方と前提条件
- 期間:2026年6月1日〜6月30日
- データ:楽天証券のチャートから取得した価格変動(配当は含まない)
- 青線:QQQ(インベスコQQQトラスト・NASDAQ100)
- 赤茶線:QQQI(NEOS Nasdaq-100 ハイ・インカムETF)
- 黄緑線:JEPQ(JPモルガン・ナスダック米国株式・プレミアム・インカムETF)
NASDAQ100系銘柄別分析
QQQ(NASDAQ100):月間-0.90%
NASDAQ100指数に連動するQQQは月間-0.90%で終了。S&P500(VOO)より下落幅が小さかったのは、月末にかけてテクノロジー銘柄が回復したためです。
QQQI(NEOS Nasdaq-100 ハイ・インカムETF):月間-1.20%
QQQIはQQQより下落幅が大きく、-1.20%での着地となりました。
カバードコールETFは上値を売る戦略のため、相場が急回復する局面では指数に遅れが出やすい特性があります。6月末にかけてNASDAQが急回復した際、QQQIはその恩恵を十分に取り込めなかった可能性があります。
ただしQQQIの月次配当(年利約13〜15%)を加えると、月次配当は約1.1〜1.3%程度のプラスになるため、トータルリターンではQQQとほぼ同等の水準になります。
JEPQ(JPモルガン・ナスダック米国株式・プレミアム・インカムETF):月間+1.30%
JEPQはQQQがマイナスの中、+1.30%のプラスで6月を終えました。
JEPIと同様にJPMorganの独自設計(ELN活用)が奏功し、下落局面での守備力を発揮した結果です。NASDAQ100系の中でJEPQがQQQをアウトパフォームしたことは注目に値します。
配当を加えたトータルリターンの実態

価格変動だけでは見えない「本当のリターン」
ここまでは配当を含まない価格変動のみで比較しましたが、カバードコールETFを評価する上では配当収入を加えたトータルリターンで見ることが重要です。
6月の月次配当(税引後・概算)を加えると、以下のようになります。
S&P500系:
- VOO:-1.50%+配当+0.10%=約-1.40%
- SPYI:-1.70%+配当+0.90%=約-0.80%
- JEPI:+2.10%+配当+0.50%=約+2.60%
NASDAQ100系:
- QQQ:-0.90%+配当+0.03%=約-0.87%
- QQQI:-1.20%+配当+1.10%=約-0.10%
- JEPQ:+1.30%+配当+0.80%=約+2.10%
配当を加えることで、特にQQQIのマイナスが約-0.10%まで縮小されます。価格変動のみで「カバードコールETFは指数に負けた」と判断するのは、この戦略の本質を見誤ることになります。
カバードコールETFが指数に勝てない構造的な理由
上昇相場では「上値を売る」デメリットが出る
カバードコールETFが指数に劣後しやすいのは、主に上昇相場においてです。
コールオプションを売ることで、原資産(株式)が大きく値上がりした際の利益を上限で制限してしまうため、強気相場が長く続く環境ではインデックス投資に比べてリターンが見劣りします。
それでもカバードコール戦略が有効な場面
一方、下落・横ばい相場では話が変わります。
オプションプレミアム収入が下落幅を一定程度カバーするため、インデックス投資より安定した収益が期待できます。6月のJEPIとJEPQのパフォーマンスは、まさにこの特性を示した好例と言えます。
カバードコール戦略は「すべての相場で指数を上回る」戦略ではなく、「配当収入を重視しながら、特に下落・横ばい相場で安定性を発揮する」戦略です。
【PR】カバードコールETFへの投資を検討されている方はこちら
私自身の保有銘柄への影響:6月の評価
6月の評価損益の変化
私自身が保有するQQQI・SPYI・JEPI・JEPQについて、6月の価格変動の影響を整理します。
- QQQI(220株):-1.20%の下落→評価額が約2.3万円程度減少
- SPYI(95株):-1.70%の下落→評価額が約1.4万円程度減少
- JEPI(55株):+2.10%の上昇→評価額が約1万円程度増加
- JEPQ(65株):+1.30%の上昇→評価額が約0.8万円程度増加
配当収入と合わせたトータルの実態
価格変動だけ見ると一部はマイナスですが、6月の受取配当合計は$171.81(約27,490円・税引後)でした。
配当収入とトータルで見ると、6月のポートフォリオ全体への影響は価格下落と配当収入がほぼ相殺される形となりました。「資産が大きく減った」という感覚はなく、むしろ配当が入ってきたことで心理的に安定した状態を維持できました。
これが私がカバードコール戦略を選んでいる理由の一つです。
よくある質問(FAQ)
Q:カバードコールETFは上昇相場でも指数に勝てることはありますか?
A:まれにあります。今回のJEPIとJEPQのように、月中に大きな下落があった後に回復する相場では、下落時にカバードコール戦略が守備力を発揮し、結果的に指数をアウトパフォームするケースがあります。
Q:グラフのデータは正確ですか?
A:楽天証券のテクニカルチャートから取得した実際のデータです。2026年6月30日時点の数値を使用しており、読み取り誤差はほぼありません。
Q:配当を含むトータルリターンの比較グラフはありますか?
A:今回は価格変動(配当抜き)のグラフを掲載しています。配当を加えたトータルリターンは本文中の計算表を参考にしてください。
まとめ:下落相場こそカバードコール戦略の真価が出る
- 2026年6月はVOO(-1.50%)・QQQ(-0.90%)ともにマイナスで終わった下落局面
- JEPIが+2.10%・JEPQが+1.30%と指数を大幅にアウトパフォーム
- QQQIは-1.20%だったが配当+1.10%を加えるとトータル約-0.10%とほぼトントン
- SPYIは-1.70%だったが配当+0.90%を加えるとトータル約-0.80%まで縮小
- カバードコール戦略は「下落・横ばい相場で配当収入を積み上げる」設計
- 上昇相場での指数劣後は、この戦略を選ぶ上で理解しておくべきトレードオフ
「カバードコールETFは指数に勝てない」という言葉を耳にすることがあります。しかし今回のデータが示すように、相場環境によっては指数を上回るパフォーマンスを発揮することがあります。
大切なのは「指数に勝つか負けるか」ではなく、「自分の投資目的(配当収入の確保)に合った戦略かどうか」を判断することです。
→【関連記事】初配当公開:カバードコールETFから初めて配当を受け取った話
→【関連記事】4%取り崩しvs配当収入、月20万円を得るために必要な資産はどちらが少ないか
【PR】楽天証券での口座開設はこちら
航海(こうかい)
免責事項
当ブログの情報は筆者個人の経験・見解にもとづくものです。グラフのデータは楽天証券のテクニカルチャートから取得した実際のデータをもとにしていますが、投資判断はご自身の責任において行っていただきますようお願いします。特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。

コメント